労作後の倦怠感と普通の倦怠感
令和5年5月、新型コロナウイルス感染症は「5類感染症」へ移行しました。 これにより、報道は減り、社会全体としても“コロナは落ち着いた”という空気が広がっています。
しかしその一方で、コロナ後遺症による不調は確実に増えています。 特に多いのが、感染前には問題なくできていた行動で、感染後に強い倦怠感が出るケースです。
普通の倦怠感とは明らかに違う「労作後倦怠感」
コロナ後遺症の特徴のひとつが 労作後倦怠感(PEM) と呼ばれる症状です。 これは、軽い動作や日常生活の行動でも、強い疲労感が出てしまう状態を指します。
例えば、
- 起床して洗顔する
- 歯磨きをする
- 朝の準備(食事・身支度)
- 軽いウォーキング
- ちょっとした家事
こうした“普通なら疲れない動作”で、強い倦怠感が出てしまうのです。
通常の疲労とは明らかに違い、 「体が鉛のように重い」「動いた後に急にぐったりする」 と訴える方が多くいます。
軽度の倦怠感であれば1週間ほどで改善することが多いですが、 長引く場合は注意が必要です。
長引く倦怠感は ME/CFS に移行することも
労作後倦怠感が続くと、 ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群) に移行する可能性があります。
ME/CFS になると、
- 日常生活が困難になる
- 学業・仕事が続けられない
- 外出ができない
- 寝たきりに近い状態になる
といった深刻な状態に陥ることがあります。
そのため、 「早期に気づき、悪化させないこと」 が非常に重要です。
若い世代で悪化が多い理由を詳しく
コロナ後遺症は高齢者だけの問題ではありません。 むしろ、20〜30代の若い世代で悪化が目立つという報告が増えています。
① 体力があるからこそ「無理をしてしまう」
若い人は体力があるため、 「もう大丈夫だろう」「軽症だったから平気」 と判断して早期に社会復帰しがちです。
しかし、コロナ後遺症は 症状の重さと後遺症の強さが比例しません。
軽症でも、
- 仕事に復帰
- 学校に復帰
- 運動を再開
- 生活リズムを元に戻す
といった“通常の生活”に戻ることで、 身体が追いつかず、倦怠感が悪化するケースが多いのです。
② 「頑張りすぎる性格」が悪化を招く
若い世代は、
- 責任感が強い
- 周囲に迷惑をかけたくない
- 休むことに罪悪感がある
- 無理をしてでもやり遂げようとする
といった傾向があり、これが後遺症の悪化につながります。
③ 精神的ストレスの影響を受けやすい
20〜30代は、
- 仕事のプレッシャー
- 将来への不安
- 人間関係のストレス
- SNSによる情報過多
など、精神的負担が大きい年代です。
精神的ストレスは自律神経を乱し、 労作後倦怠感を悪化させる大きな要因になります。
④ 「若いからすぐ治る」という誤解
周囲からも本人からも、 「若いから治りが早いはず」 という期待がかかりやすいですが、これは大きな誤解です。
むしろ、 若いからこそ無理をして悪化する というケースが非常に多いのです。
自律神経に深刻なダメージが残ることも
コロナ後遺症の研究が進む中で、 自律神経への影響が非常に大きい ことが分かってきました。
大阪の5つの病院で行われた調査では、
- 感染から1年経っても 56%が倦怠感を訴える
- 就業者の 66%が仕事に支障がある と回答
という結果が出ています。
当院でも、
- 仕事に復帰できない
- 学校に行けない
- 外出ができない
といった相談が増えています。
コロナ後遺症の倦怠感は、 従来の自律神経失調症よりも重症化しやすい という印象があります。
東洋医学から見た労作後倦怠感
東洋医学では、倦怠感は 気(エネルギー)の不足 や 脾(ひ)の弱り と関係すると考えます。
- 脾が弱る → 体力が回復しない
- 気が不足する → 少し動いただけで疲れる
- 肝が乱れる → 自律神経が不安定になる
コロナ後遺症は、まさにこの「脾・肝・気」のバランスが大きく崩れた状態に近いといえます。
そのため、 無理をせず、身体の回復力を取り戻すこと が最優先になります。
まとめ:感染後は“とにかく休む”ことが最優先
コロナ後遺症は、軽症の感染でも起こります。 そして、労作後倦怠感は悪化すると日常生活が困難になるほど深刻です。
- 無理をしない
- 早期に休む
- 身体の変化を見逃さない
この3つがとても大切です。
「若いから大丈夫」 「仕事ができているから問題ない」 という考えは危険です。
感染後は、いつもより慎重に身体を労わってください。 倦怠感が続く場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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