起立性調節障害が慢性化する理由とは
思春期の学生に多い起立性調節障害(OD)。
本来は成長とともに改善していくケースが多いものの、症状が長期化し、日常生活や学業に大きな影響を及ぼす学生も少なくありません。
「朝起きられない」「学校に行きたいのに体が動かない」
そんな状態が数ヶ月、あるいは一年以上続くと、本人も家族も出口が見えなくなってしまいます。
しかし、ODが慢性化する背景には、医学的にも心理社会的にも明確な理由があります。
その理由を理解することが、回復への第一歩になります。
起立性調節障害が慢性化しやすい学生の特徴
ODが慢性化した学生は、次のような症状を複数抱えています。
- 起床困難
- めまい・立ちくらみ
- 頭痛・腹痛
- 倦怠感・集中力低下
- 夜間の入眠困難
- 食欲低下
- 体力低下
- 不安・意欲低下
これらは単独で起こるのではなく、
「自律神経の乱れ」「心理的ストレス」「生活リズムの崩れ」が相互に影響し合うことで悪化します。
自律神経の調整不全が中心にある
起立性調節障害の根本には、交感神経と副交感神経の調整不全があります。
特に思春期はホルモン変化が大きく、自律神経が不安定になりやすい時期です。
- 起立時の血圧調整がうまくいかない
- 心拍数が過剰に上昇する
- 脳への血流が低下する
これらが「めまい」「起床困難」「頭痛」などの症状につながります。
生活リズムの乱れと概日リズムの後退
ODが慢性化した学生に多いのが、
「夜眠れない → 朝起きられない → 昼夜逆転」というパターンです。
概日リズム(体内時計)が後退すると、自律神経の調整能力がさらに低下し、症状が固定化しやすくなります。
心理社会的ストレスが症状を増悪させる
学生は、以下のようなストレスを受けやすい時期です。
- 学校での人間関係
- 成績・進路へのプレッシャー
- 親子関係の緊張
- 部活動の負担
- SNSによる比較や孤立感
これらは自律神経に直接影響し、症状を悪化させる「増悪因子」となります。
症状 → 不安 → 体力低下 → さらに症状悪化 の悪循環
慢性化した学生の多くは、次のサイクルに陥っています。
- 症状が出る
- 学校に行けない
- 不安・罪悪感が増える
- 活動量が減り体力が低下
- さらに症状が悪化
- また学校に行けない
この悪循環を断ち切るには、症状だけでなく背景要因を整理することが不可欠です。
万能の治療法は存在しない
起立性調節障害は、単一の原因で起こる病気ではありません。
そのため、「これをすれば治る」という万能の治療法は存在しません。
重要なのは、
その学生にとって負担の大きい要因を特定し、そこから優先的に介入することです。
負担の大きい要因からアプローチする
睡眠リズムの乱れが主因の場合
→ 体内時計の再調整(起床時刻の固定、朝の光刺激)
心理的ストレスが大きい場合
→ 安心できる環境づくり、学校との連携
体力低下が顕著な場合
→ 段階的な運動療法(散歩・ストレッチなど)
水分調整の不良がある場合
→ こまめな水分・塩分補給
症状ではなく「背景」を見ることが、慢性化からの脱却につながります。
今日からできるアプローチ
- 起床時刻を一定にする(5分でもOK)
- 朝の光を浴びて体内時計をリセット
- 水分・塩分を意識的に摂取
- 低負荷の運動を取り入れる
- 不安を言語化する時間をつくる
- 学校と連携し、負担を調整する
親御さんにできるサポート
- 症状を責めない
- 本人のペースを尊重する
- 「できていること」を見つけて伝える
- 背景要因を一緒に整理する
- 無理な登校刺激を避ける
親御さんの理解と安心感は、学生にとって大きな支えになります。
まとめ
起立性調節障害は、
自律神経・心理社会的ストレス・生活リズムの乱れが複雑に絡み合う疾患です。
慢性化している学生ほど、症状の奥にある“本当の負担”が見えにくくなっています。
しかし、その負担を丁寧に整理し、優先順位をつけて介入していけば、必ず回復の方向へ向かいます。
焦らず、比べず、その学生のペースで進んでいきましょう。
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