【忘れ物が多い・片付けられないのは“脳の特性”かも】
子どもの「忘れ物が多い」「片付けられない」「話を聞いていないように見える」。 こうした困りごとは、決して“性格”や“やる気の問題”ではありません。
神経発達症の子どもには、ワーキングメモリー(脳のメモ帳)が弱い傾向があり、これが日常生活のつまずきにつながります。
この記事では、
- ワーキングメモリーが弱いと何が起きるのか
- 学校や家庭で見られやすい行動
- 感覚過敏との関係
- 大人ができるサポート
を、専門家の視点から分かりやすく解説します。
ワーキングメモリーが弱いと何が起きるのか
ワーキングメモリーとは「脳のメモ帳」
ワーキングメモリーとは、短時間だけ情報を保持し、処理する力のことです。
- 今聞いたことを覚えておく
- 次に何をするか順序立てる
- 行動を切り替える
といった日常のあらゆる場面で使われています。
神経発達症の子どもは、この機能が弱い傾向があり、情報を保持し続けることが難しいのです。
片付けの指示が伝わらない理由
たとえば家族が、
「部屋の片づけしてね。部屋が汚れているでしょ」
と言ったとします。
定型発達の子どもなら「片付けをする」という行動につながります。 しかしワーキングメモリーが弱い子は、文章の後半の
「部屋が汚れているでしょ」
という“印象の強い部分”だけが頭に残ってしまいます。
その結果、 「汚れている=嫌だな」 という感覚だけが残り、片付けという行動には結びつかないのです。
順序立てて行動できない背景
- 「まず何をするか」が頭に残らない
- 作業の途中で別の刺激に注意が移る
- 行動の切り替えが苦手
こうした理由から、日常のタスクがスムーズに進みにくくなります。
学校生活で見られやすい困りごと
授業中に座っていられない
気になる音や動きがあると、注意がそちらへ向かい、体が動いてしまいます。 「集中しよう」と思っても、意識が自然に移ってしまうのです。
聞き逃し・忘れ物が多い
- 文章が長いと覚えきれない
- 話すスピードが速く感じる
- 必要な情報が抜け落ちる
結果として、聞き逃しや忘れ物が増えてしまいます。
部屋や机が散らかりやすい
片付けを始めても、途中で興味が別の方向へ移り、作業が中断されます。 「やろうと思っていたのに、気づいたら別のことをしていた」という状態になりやすいのです。
神経発達症の子は“体験から学びにくい”
「慣れればできる」は間違い
神経発達症の子どもは、体験したことをそのまま学習につなげるのが得意ではありません。
同じ場面でも、 その時の刺激・感覚・気分によって感じ方が変わるため、 「前にできたから今回もできる」とは限りません。
同じ場面でも毎回違う理由
- 感覚の過敏さ
- 注意の移りやすさ
- ワーキングメモリーの弱さ
これらが組み合わさることで、行動が安定しにくくなります。
感覚過敏というもう一つの困りごと
神経発達症の子どもには、感覚がとても敏感なケースが多くあります。
- 聴覚過敏:音が聞こえすぎて疲れる
- 視覚過敏:光や色が強く感じられる
- 触覚過敏:触れると不快なものが多い
- 味覚過敏:食べられるものが限られる
- 嗅覚過敏:においを感じすぎて疲れる
こうした刺激の多い世界で生活しているため、日常だけで大きなストレスを抱えていることがあります。
大人が気をつけたい関わり方
理想の行動を押し付けていないか
子どもが何度も同じ行動を繰り返すと、大人はつい
「どうしてできないの」 「前も言ったよね」
と言いたくなります。
しかし、子どもにはその子なりの理由があります。
まじめな子ほど無理をしやすい
「怒られないように」 「いい子でいよう」
と頑張りすぎてしまう子も多いです。
疲れ切ってしまった時は、まずはゆっくり休ませることが何より大切です。
まとめ:できないのではなく“理由がある”
神経発達症の子どもは、
- ワーキングメモリーの弱さ
- 感覚過敏
- 注意の移りやすさ
といった特性を抱えながら、毎日を懸命に生きています。
「できない」のではなく、 “できにくい理由がある”のです。
まずはその特性を理解し、お子さんが安心して過ごせる環境づくりを一緒に考えていきましょう。
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